○南富良野町認知症総合支援事業実施要綱
平成29年10月20日
要綱第11号
目次
第1章 総則(第1条―第4条)
第2章 認知症初期集中支援推進事業(第5条―第12条)
第3章 認知症地域支援・ケア向上事業(第13条―第16条)
第4章 雑則(第17条―第18条)
附則
第1章 総則
(趣旨)
第1条 この要綱は、介護保険法(平成9年法律第123号。以下「法」という。)第115条第2項第6号の規定に基づき、本町が実施する南富良野町認知症総合支援事業の実施について必要な事項を定めるものとする。
(定義)
第2条 この要綱における用語の意義は、法、介護保険法施行令(平成10年政令第412号)、介護保険法施行規則(平成11年厚生省令第36号。以下「省令」という。)、介護予防・日常生活支援総合事業の円滑な実施を図るための指針(平成27年厚生労働省告示第196号)、介護予防・日常生活支援総合事業のガイドラインについて(平成27年6月5日老発0605第5号厚生労働省老健局長通知)及び地域支援事業の実施について(平成18年6月9日老発第0609001号厚生労働省老健局長通知)の例による。
(事業)
第3条 町長は、南富良野町認知症総合支援事業として、次に掲げる事業を行うものとする。
(1) 認知症初期集中支援推進事業
(2) 認知症地域支援・ケア向上事業
(3) その他認知症である者、その家族等に対する支援に関し必要な事業
2 前項の定めにより事業委託を受けた者(以下「委託法人等」という。)の行う事業について、適切な運営が確保されないとき、又はそのおそれがあると認めるときは、当該委託契約を解除するものとする。
3 事業委託の内容及び範囲は、別に定める。
第2章 認知症初期集中支援推進事業
(目的)
第5条 この事業は、認知症になつても本人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で暮らし続けられるために、認知症の人やその家族に早期に関わる認知症初期集中支援チーム(以下「支援チーム」という。)を配置し、早期診断及び早期対応に向けた支援体制を構築することを目的とする。
(支援チームの役割)
第6条 支援チームは、地域包括支援センターに配置することとし、認知症に係る専門的な知識及び技能を有する医師の指導の下、複数の専門職が家族の訴え等により訪問支援対象者及びその家族を訪問し、観察・評価、家族支援等初期の支援を包括的かつ集中的に行い、自立生活のサポートを行うものとする。
2 支援チームは、地域包括支援センター職員、本町関係職員、かかりつけ医、かかりつけ歯科医、認知症サポート医、認知症に係る専門的な知識及び技能を有する医師、認知症疾患医療センター職員、介護事業者等との連携を常に意識し、情報が共有できる仕組みを確保するものとする。
(1) 専門職である者は、次に掲げる要件を全て満たす者とする。
ア 保健師、看護師、准看護師、栄養士、社会福祉士、介護福祉士、介護支援専門員の医療保健福祉に関するいずれかの国家資格を有すること。
イ 認知症ケアや在宅ケアの実務・相談業務等に3年以上携わつた経験があること。
ウ チーム員は国が別途定める「認知症初期集中支援チーム員研修」を受講し、必要な知識・技能を修得する者とする。ただしやむを得ない場合には、国が定める研修を受講したチーム員が受講内容をチーム内で共有することを条件として、同研修を受講していないチーム員の事業参加も可能とする。
(2) 専門医は、日本老年精神医学会若しくは日本認知症学会の定める専門医又は認知症疾患の鑑別診断等の専門医療を主たる業務とした5年以上の臨床経験を有する医師のいずれかに該当し、かつ認知症サポート医である者とする。
2 前項第2号の専門医の確保が困難な場合は、当分の間、次に掲げる医師を専門医とみなすことができる。
(1) 日本老年精神医学会若しくは日本認知症学会の定める専門医又は認知症疾患の鑑別診断等の専門医療を主たる業務とした5年以上の臨床経験を有する医師であつて、今後5年間で認知症サポート医研修を受講する予定のあるもの。
(2) 認知症サポート医であつて、認知症疾患の診断・治療に5年以上従事した経験を有するもの(認知症疾患医療センター等の専門医と連携を図つている場合に限る。)
(チーム員の委嘱)
第8条 チーム員は、町長が委嘱するものとし、任期は3年とする。
(1) 報酬の額は、日額12,000円
(2) 費用弁償の額は、南富良野町特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例(昭和32年4月1日条例第5号)の定める費用弁償の額とする。
(訪問の方法等)
第9条 訪問支援対象者及びその家族を訪問する場合のチーム員の人数は、初回の観察・評価の訪問時は、原則として、医療系職員と介護系職員それぞれ1名以上の計2名以上とする。
(訪問支援対象者)
第10条 訪問支援対象者は、原則として40歳以上で、在宅で生活しており、かつ、認知症が疑われる者又は認知症である者で、次の各号のいずれかに該当する者とする。
(1) 医療サービス若しくは介護サービスを受けていない者、又はそれらを中断している者で、次のいずれかに該当する者
ア 認知症疾患の臨床診断を受けていない者
イ 継続的な医療サービスを受けていない者
ウ 適切な介護サービスに結び付いていない者
エ 介護サービスが中断している者
(2) 医療サービス又は介護サービスを受けている者で、認知症の行動・心理症状が顕著である者
(事業内容)
第11条 認知症初期集中支援推進事業の内容及び方法は、次に掲げるとおりとする。
(1) 支援チームに関する普及啓発 地域住民並びに関係機関及び団体に対し、支援チームの役割及び機能について広報活動及び協力依頼を行う等の取組
(2) 認知症の初期集中支援の実施
ア 訪問支援対象者の把握
(ア) 訪問支援対象者の把握は、支援チームが必ず地域包括支援センター経由で訪問支援対象者に関する情報を入手できるように配慮すること。
(イ) チーム員が直接訪問支援対象者に関する情報を知り得た場合においても、地域包括支援センターと情報共有を図ること。
イ 情報収集及び観察・評価
(ア) 本人及びその家族等あらかじめ協力の得られる人が同席できるよう調整を行い、本人の現病歴、既往歴、生活情報等に加え家族の状況等を情報収集すること。
(イ) 信頼性及び妥当性の検証がされた観察・評価票を用いて、認知症の包括的観察・評価を行うこと。
ウ 初回訪問時の支援
(ア) 初回訪問時に、認知症の包括的観察・評価、基本的な認知症に関する正しい情報の提供、専門的医療機関への受診及び介護保険サービスの利用の効果に関する説明並びに訪問支援対象者及びその家族の心理的サポートや助言等を行う。
(イ) (ア)の説明及び助言等は、おおむね2時間以内を目安として行うこと。
エ 専門医を含めたチーム員会議の開催
(ア) 初回訪問後、訪問支援対象者毎に、観察・評価内容を総合的に確認し、支援方針、支援内容、支援頻度等を検討するため、専門医も含めたチーム員会議を行うこと。
(イ) (ア)の会議の開催に当たり、必要に応じて、訪問支援対象者のかかりつけ医、介護支援専門員、本町関係課職員等の参加も依頼すること。
オ 初期集中支援の実施
(ア) 医療機関への受診が必要な場合の訪問支援対象者への動機付け又は継続的な医療サービスの利用に至るまでの支援、介護サービスの利用等の勧奨及び誘導、認知症の重症度に応じた助言、身体を整えるケア、生活環境等の改善等の支援を行うこと。
(イ) (ア)の支援は、訪問支援対象者が医療サービスや介護サービスによる安定的な支援に移行するまでの間とし、概ね最長で6か月を目安として行うこと。
カ 引き継ぎ後のモニタリング
(ア) 初期集中支援の終了をチーム員会議で判断した場合、地域包括支援センターの職員、担当介護支援専門員等と同行訪問を行う等の方法で円滑に引き継ぎを行うこと。
(イ) 初期集中支援の終了をチーム員会議で判断した場合、チーム員会議において、引き継ぎの2か月後に、サービスの利用状況等を評価し、必要性を判断の上、随時モニタリングを行うこと。
キ 記録等の保管
(ア) 訪問支援対象者に関する情報、観察・評価結果、初期集中支援の内容等を記録した書類は、初期集中支援の終了後5年間保管しておくこと。
(認知症初期集中支援チーム検討委員会の設置)
第12条 認知症が疑われる高齢者の早期診断及び早期対応に向けた支援体制の構築に資するため、認知症初期集中支援チーム検討委員会(以下「委員会」という。)を設置する。
2 委員会は、支援チームの活動のうち、次の事項について検討を行う。
(1) 支援チームの活動状況に関すること。
(2) 認知症に関する関係機関との連携に関すること。
(3) その他支援チームの活動について必要な事項に関すること。
3 委員会は、南富良野町地域包括支援センター運営協議会に置く。
4 委員会の庶務は、保健福祉課介護医療係において処理する。
第3章 認知症地域支援・ケア向上事業
(目的)
第13条 この事業は、医療機関及び介護サービス並びに地域の支援機関の間の連携を図るための支援並びに認知症である者及びその家族を支援する相談業務等を行う認知症地域支援推進員(以下「推進員」という。)を配置し、当該推進員を中心として、医療・介護等の連携強化等による、地域における支援体制の構築と認知症ケアの向上を図ることを目的とする。
(事業の実施体制)
第14条 この事業は、地域包括支援センター等に推進員を1名以上配置し、実施するものとする。
(推進員の要件)
第15条 推進員は、以下のいずれかの要件を満たす者とする。
(1) 認知症の医療や介護における専門的知識及び経験を有する医師、保健師、看護師、社会福祉士、介護福祉士、介護支援専門員
(2) 前号以外の認知症介護指導者養成研修修了者
2 推進員は、認知症初期集中支援チーム等と関係機関が効率的かつ有機的に連携できるように調整を行い、定期的な情報交換ができるような環境作りに努めるものとする。
3 推進員は、業務に関して収集した個人情報については、個人情報、プライバシーの尊重及び保護に万全を期すものとし、正当な理由がなくその業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。
(推進員の業務内容)
第16条 地域支援事業実施要綱(老発0115第1号厚生労働省老健局長通知)に基づき、以下の業務を実施する。
(1) 医療・介護等の支援ネットワーク構築
ア 認知症の人が認知症の容態に応じて必要な医療や介護等のサービスを受けられるよう関係機関との連携体制の構築
イ 認知症ケアパス(状態に応じた適切な医療や介護サービス等の提供の流れ)の作成・普及等
(2) 認知症対応力向上のための支援
ア 認知症疾患医療センターの専門医等による、病院・施設等における処遇困難事例の検討及び個別支援
イ 介護保険施設等の相談員による、在宅で生活する認知症の人や家族に対する効果的な介護方法などの専門的な相談支援
ウ 認知症カフェ等の開催
エ 認知症サポート研修など認知症多職種協働研修の実施
(3) 相談支援・支援体制構築
ア 認知症の人や家族等への相談支援
イ 認知症初期集中支援チームとの連携等による、必要なサービスが認知症の人や家族に提供されるための調整
2 地域の実情に応じて、以下の事業を行う。
ア 認知症に関する講演会及び予防教室等の啓発活動
イ 認知症サポーター養成研修及びステップアップ研修の開催
ウ 認知症サポーターキャラバンメイトの連絡調整
エ 徘徊による行方不明者の早期発見及び地域での見守り体制の整備
第4章 雑則
(守秘義務等)
第17条 チーム員、推進員及び委託法人等は、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)の規定等を踏まえ、訪問支援対象者及び対象世帯並びに利用者及び利用者の世帯の個人情報及びプライバシーの尊重及び保護に万全を期すものとし、正当な理由がなくその事業に関して知り得た個人に関する情報その他の秘密を他に漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。
(委任)
第18条 この要綱に定めるもののほか、必要な事項は、別に定める。
附 則
(施行期日)
第1条 この要綱は、平成30年4月1日から施行する。